八重山の旧盆、ソーロン。
暗い夜の先にある世界から、現世を徘徊するウシュマイ、ウミー、そしてファーマー。
そこに恐怖や悲壮感はなく、島の人は異形と笑い、踊り明かし、先祖を尊び祈りを捧げます。
八重山での言い伝えでは先祖が神になるまでの時間は七世代。
そして波の向こうにあるとされる魂の帰る場所、ニライカナイ。
蒸せ返るようなモンスーンと四方を囲む黒潮の恩恵。
死から目を背け、一日でも長く現世にしがみつこう、そんな逃避行のような僕の日常の隣で紡がれる、穏やかで艶やかな命の先の物語。 そして110km先の台湾。
今、この人生はまだ序章。
終焉を忌み嫌うだけでなく、いかに充実を感じ生を全うし、子孫へ思いを繋げていくのか。
自分がいつの日か土に溶け、波を彷徨う時、一人でも思い出してくれる人がいるような日々を送りたいと思うきっかけを与えてくれた夜でした。